スーツ価格の違い いったい何が違うのか?

2022.03.22 成人式スーツ リクルートスーツ 結婚式参列衣装 ビジネススーツ

スーツ価格の違い いったい何が違うのか?

スーツの値段には理由あり!

スーツの値段って

1万円くらいのものから、50万以上するフルオーダースーツまで

本当に「ピンからキリまで」違いがありますよね。

 

見た目大きく違わないように見えるのに

いったい何がそんなに違うのか?

と疑問に思われる方も多いかと思いますので

今回、業界に長く携わる者として説明していきます。

 

 

この価格の違いには、

様々な理由が組み合わさり反映されています。

細かい理由は沢山ありますが、

 

基本となるのは、

大きく5つのポイントです。

生地・希少性・仕立て・流通・ブランド

 

この5つで解説していきます。

1・生地の違い

繊維には、天然繊維と合成繊維(化学繊維)があるのをご存知でしょうか?

天然繊維とは、綿やウール・麻・シルク などのように

植物や動物の毛などの自然界にあるものからなる繊維のことです。

合成繊維は化学繊維とも言われ、ポリエステル・レーヨン・アクリルなどのに代表される、人工的に作られる繊維で、工場において大量生産が可能な繊維になります。

この天然繊維と化学繊維の違いで生地値が違ってきます。

スーツによく使われるそれぞれの代表的な繊維は、

ポリエステルとウールです。

 

大量生産できるポリエステルに対して、

羊を育て毛を刈り生地に仕上げるウールは、手間と時間が多くかかり、量においては少ない為、

コストが高いとわかっていただけると思います。

 

ただ、それぞれに生地の特徴(一長一短)はあり、

ポリエステルは人口的に作られるので、丈夫で長持ちします。

ただ、長く多く着ると表面に「てかり」が発生します。

 

ウールは、天然繊維らしい、通気性と保温性をバランス良く保ち、生地がしなやかで艶のある生地になります。

ただ、天然繊維なので、虫食いに注意が必要で水洗いできないなどの難点もあります。

 

生地の値段については、天然繊維>化学繊維といった構図です。

2・希少性の違い

この稀少性の違いは、

天然繊維の中でもさらに量の少ない繊維のことをさします。

皆様がよく聞かれる繊維でいいますと、「カシミヤ」や「シルク」がそれにあたります。

カシミヤは、カシミヤヤギから採取した毛になりますが、(カシミール地方のヤギ) 採取できる量が少ないうえに、毛の密度が高く細く艶があり保温性に優れている為、高性能と稀少性を兼ね備えた繊維です。

シルクも、同じ様に希少性が高く高価な素材です。こちらは、ご存知の方も多いかと思いますが、蚕の繭から採取します。

独特の艶があり、何よりも軽くて丈夫。ただし、天然繊維なので虫食いに注意と、変色しやすくとてもデリケートな繊維なので、家庭で洗うのも困難な繊維です。

こちらは、量もそうですが、手間が大幅にかかり、そのことで希少性が高くなり高価になる繊維です。

 

また、同じ組成でも無地を中心にした需要の高い生地は量産できますが、独特なチェック柄のように量産できない(しない)生地については希少性は高くなります。

このように、希少性が高い繊維はやはり高くなります。

3・仕立ての違い

次に紹介するのは、仕立ての違いです。

まず単純に

量産できる、既製品と、1着ずつ対象の人に合ったスーツを仕立てる「オーダースーツ」では、必然と値段の違いがでてくるのは、想像していただけると思います。

このオーダーについても、大きく分けて3種類あります。

「パターンオーダー」→「イージーオーダー」→「フルオーダー」となります。

ここでは、詳しく詳細までお話しませんが、後ろへいくほど、手間がかかり高級な仕立てになります。もちろん、着心地や見た目にも影響はあります。

 

オーダースーツって?https://www.lordhouse.jp/

 

次に、「日本製」と中国・ベトナムなどに代表される「海外製」についても、価格の違いがあります。

単に日本製は人件費が高いからではなく、日本の縫製技術はとても優れており、それだけの手間がかかることも影響します。

例えば、生地と生地の縫い合わせの部分も丁寧な仕事は均一に縫い合わせにゆとりがあり、生地の弾力に糸が合わせて動き、生地にも人の動きにもスムーズに順応します。

反面このゆとりが均等でなければ、生地が突っ張り、例えばヒザを曲げたときなどスムーズな動きが難しく、無理をすると裂けたり破れたり、縫い目から穴が空いたりなどの現象が起こります。(一例です。海外の縫製でもきれいな物もあります)

この他にも仕立てでは、芯地やパット・ボタン・裏地などの副資材の違いも、価格に反映されます。

一例を言いますと、芯地やボタンなどは、毛芯(ケジン)やホルンボタン(水牛釦)などのような天然の素材を使用すると、接着芯や樹脂ボタンなどの人工の資材よりも価格は高くなります。

このように、仕立ての違いは、良い資材を良い場所で、良い方法で、その人専用に、となればなるほど、スーツの値段は上がっていきます。

4・流通の違い

今回の流通の違いは、主に生地の値段に反映されます。

皆様もよく見聞きすることが有るかと思いますが、

原糸の段階から、消費者(小売店)までの間にどれだけの会社が関わっているかという話です。

少し前だったり最近よく耳にする言葉で、D2CやSPA・BtoB・日本代理店・並行輸入品 などの流通に関する言葉があります。

 

一般的には、間に関わる商社や代理店・ショップ などが少ないほうが価格は抑えられます。

 

ただ、間に入る企業が大変な作業や手続きをまとめて行い、例えばこの生地の分野では、欲しい長さ・欲しい柄を手配しているという機能もあることで、小売店なども手間がかからないといった大きなメリットを得ることもあるため、この手間やロスのことを考慮すると価格も単純なものにはなってきません。

 

また、日本で扱われているスーツ生地は、イギリスやイタリアを代表とするヨーロッパの生地と、日本製の生地・量産される中国製の生地などがあります。

次のブランドとも通ずる話ですが、ヨーロッパの生地を使用する方が、流通も複雑で手間も多い為価格も高くなります。

量産できる中国製は安くなります。日本製は品質重視の為、価格はヨーロッパに近い価格になります。

5・ブランド力

スーツ業界では、主に3種類のブランドが存在します。

1・アパレルブランド

2・生地ブランド

3・ショップブランド

 

スーツに限ったことではなく、衣料品や服飾など全般において、1と3は共通することです。

スーツ業界においては、2の生地のブランドが価格にも大きく関わります。

内容は、アパレルブランドの成り立ちと一緒で、有名なブランドは一般的には品質も高く、洗練されているものが多い為、価格は高くなります。

 

反面、ノンブランドや名前の売れていないブランドも多く、そのようなブランドは価格も控えめにならざるをえません。

 

このスーツ生地のブランドは、ヨーロッパを中心に皆様が思っている以上に多くのブランドがあり、それぞれ特徴を持って展開しています。

この生地ブランドのなかにも、ミル(工場ブランド)とマーチャント(商社ブランド)が存在しており、より多くのブランドがある要因になっています。

値段の違いについて、動画でも少し話をさせていただいています

目的に合ったスーツを知る

今回5つのポイントについて、スーツの値段の違いを書き込みました。

 

ただ、ご自身のスーツを着る機会や頻度、昔でいう「TPO」や「オケージョン」によって相応しいスーツを見極めてください。

入社したてのフレッシュマンが毎日着用するスーツに、艶のよくきいた高級なスーツを着用することは、先輩や上司の反感や嫌悪感を買うかもしれません。

結婚式で招待された席で新郎より目立つスーツもNGです。

 

そのように、立場・環境・用途・頻度で、目的にあったスーツを選択してください。

 

購入前にお店で是非相談してみてください。

 

本当のコストパフォーマンスを知る

まとめさせていただきますが、

ご自身が気に入ったスーツが、一番いいスーツ、

すなわち、「コストパフォーマンス」のいいスーツであると思って下さい。

 

生地やブランドの違いはもちろんありますが、

「安かったけどメチャメチャいいスーツだった」でも

「思ったより高かったけどとても気に入った」でも

どちらでもそのように思えるスーツが

ご本人にとって一番

「コストパフォーマンス」のいいスーツです。

 

そう思ってもらう為には、周りからの見え方、も大事です。

周りやビジネスパートナーにどのように思われたいか? 見せたいか? がポイントです。

 

その為には、ショップでもテーラーでも、お店の人に是非相談してください。

スーツは、満足度=価格だけではありません。