2025.01.17 ビジネススーツ セットアップ ジャケット
スーツの価格は、数万円のものから数十万円のものまで大きく異なります。その価格差はどこからくるのでしょうか?スーツの値段を決める大きな要因は、生地のブランド(マーチャント(商社)・ミル(織元))と縫製の違いの2つです。本記事では、これらの要素を詳しく解説しながら、最もコストパフォーマンスの良いスーツ選びについて考えます。
スーツの生地を供給するブランドには、大きく分けて**マーチャント(商社)とミル(織元)**があります。それぞれの特徴と価格の違いを見ていきましょう。
マーチャントは、自社で生地を織るのではなく、ミル(織元)から生地を仕入れ、独自のコレクションを展開するブランドのことを指します。
ブランド力がある:世界的に有名なスーツ生地ブランドが多く、ステータス性が高い。
安定した品質管理:各国の優れたミルから厳選した生地を仕入れ、品質基準を満たしたものだけを提供。
価格が高め:マーチャント独自のブランド価値が加わるため、ミルよりも価格が高くなる傾向。
Holland & Sherry(ホーランド&シェリー)
Dormeuil(ドーメル)
Scabal(スキャバル)
Fox Brothers(フォックス・ブラザーズ)
ミル(織元)は、自社で原料の仕入れ、紡績、織布、仕上げまでを一貫して行う生地メーカーです。
価格が抑えられる:仲介業者を通さずに生地を供給するため、コストパフォーマンスが良い。
品質がダイレクトに反映される:自社工場で生産するため、クオリティが安定している。
選択肢が豊富:ミルによって風合いや織り方の個性があり、オリジナリティのあるスーツを作れる。
Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)
Loro Piana(ロロ・ピアーナ)
Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)
Reda(レダ)
一般的に、同じような品質の生地でも、マーチャント経由のものはミルの生地よりも2~3割高くなる傾向があります。これは、ブランド管理やマーケティングコストが上乗せされているためです。そのため、コストパフォーマンスを重視するなら、ミルの生地を直接扱っているオーダースーツ店を選ぶのが賢明です。
生地と並んで、スーツの価格を大きく左右するのが「縫製」です。縫製には大きく分けて3つのグレードがあります。
特徴:
ほぼすべての工程をミシンで縫製。
大量生産が可能で、価格が抑えられる。
フィット感は平均的で、細かい調整ができない。
価格帯:5~10万円
適した用途:ビジネス用スーツ、量産向けスーツ
肩や襟、ボタンホールなどの重要な部分を手縫いで仕上げる。
立体感のある仕上がりになり、着心地が向上。
国内の熟練職人が手掛けるケースが多い。
価格帯:10~20万円
適した用途:ビジネスやフォーマルで長く使えるスーツ
ほぼすべての工程が手縫い。
フルキャンバス仕立て(芯地が手縫いで縫い込まれる)で、身体に馴染む。
仕上がりに時間がかかるが、一生モノのスーツが作れる。
価格帯:20万円以上
適した用途:特別な場面で着る一張羅、ハイエンドなビジネススーツ
結論として、**最もコストパフォーマンスが良いのは「ミルの生地を使い、国内の縫製工場で仕立てるスーツ」**です。
高品質な生地を、マーチャント経由よりも安価に手に入れることができる。
価格が抑えられている分、縫製に予算をかけられる。
日本の職人技術は世界的に評価されており、縫製のクオリティが安定している。
海外縫製よりも細かいフィット感の調整が可能。
そのため、10~20万円程度の予算で、ミルの生地を使用し、日本国内の縫製工場で仕立てたスーツを選ぶと、コストパフォーマンスが最も高いと言えます。
スーツの価格は、**「生地のブランド(マーチャント・ミル)」と「縫製の質」**によって大きく変わります。
ブランドのステータスを重視するならマーチャント生地
コストパフォーマンスを求めるならミルの生地
仕立ての良さを重視するなら国内縫製のハーフハンドメイド以上
スーツを選ぶ際には、生地と縫製のバランスを考え、自分にとって最適な1着を見つけることが重要です。