わたし達の地元、岡山のシャツ文化

はじまりは「一輪の綿花」

わたし達の地元岡山の県南エリアは江戸時代に多くの面積を干拓より作り出された土地です。 干拓をした初めの数年は土壌に塩分を含み米や麦などの農作物に向かず苦心の末に、塩分を含む土地でも栽培できる綿花が一帯に植えられました。 そして大切に育てた綿花の紡績を行い、紡績した綿を織機で織り上げ、岡山の名産品のジーンズやシャツに加工していく縫製の文化が岡山には根付いていたのです。 そして、今回、私たちから故郷の肌着として親しまれている地元岡山のシャツ工房にお邪魔して、縫製の流れと共にシャツへの想いをご覧いただければと思います。

裁断工程

手作業の残る工房

現在、シャツの縫製も時代の変化と共に機械化が進んでいます。 オーダー頂いたサイズデータをコンピューターに入力するとCAMという機械でシャツ生地を裁断された状態で出力されます。 ですが、その工程の片隅に手で裁断するパートが残されています。 機械では断ちにくい細番手の素材や年に数度しかオーダーの入らないデザインの物などをこのパートで裁断しています。 現代的に考えれば、採算の合わないパートは切り捨て、採算の合う素材やデザインのみにした方が良いのかもしれませんが、やはり「好き」という観点で取り扱うと好きで求めてくれる人がいる以上は最低限確保したいという思いで残されています。

縫製工程

熟練の技を残しつつ

縫製の面でも機械化が進み全自動の特殊ミシンも多く開発、導入されています。 ですが特に目の行くシャツの顔となる襟や前立てなどの部分は中に添えられる芯地の硬さや添い具合を調整をしながら 熟練の手の感覚で取り付け、縫製されています。

まとめ工程

日本のシャツの証

ですが機械化はどんどん進み、手の加わる部分はどんどん少なくなってきています。 全自動で作った物と手で仕上げた物の差もかなり埋まっていますし、逆に機械で仕上げた物の方が均一に仕上がる為に見た目もクリーンに仕上がる部分も出てきています。 これも寂しい事ですが、事実です。 ですが最後は人の目と手で確認するあたりは機械では出来ません。 写真の工程は機械が仕上げたミシンを人が人針解き縫い糸の始末をしている工程です。 この工程はすべての作業工程の帳尻を合わせるとても重要な工程で、全体の仕上がりのバランスは人の目と手で行われています。

最後に

日本の物作りは、成熟期を迎えており、技術的な部分や仕上がりはどこの製品も同等のレベルまで達してきています。 日本の得意な細部の仕上げも少しコストをかければどこの企業でも真似はできます。 ですが、最終的にそこの部分をムダなコストと考え無視するか、「好き」だからこそ、その部分の価値を高めたいと考えるかは、会社と経営者の哲学次第だと思います。 わたし達は岡山の文化としてこの瀬戸内シャツの良さをお伝えできればと思っております。